イントロダクション

Jitterについて


JitterはMaxグラフィカルプログラミング環境のための、映像、マトリクス(行列)、3Dグラフィックス向けの130を越える新しいオブジェクト群です。Jitterオブジェクトは、マトリクスデータの生成や操作に対し、柔軟性に富んだ手段でMax4/MSP2の機能を拡張します。ビデオや静止画像、3Dジオメトリ、もちろん文字列、表計算データ、パーティクルシステム、ボクセル、オーディオといったような行と列で表現可能なデータならば、どんなデータでも扱うことができます。Jitterはリアルタイム動画処理、カスタムエフェクト、2D/3Dグラフィックス、オーディオ/映像インタラクション、データビジュアリゼーションや解析に興味持つ誰にとっても有用なものです。


JitterはMax/MSPプログラミング環境を土台としているため、特定目的のアプリケーションにつきものの制限はありません。どんなことが行われるべきかという他の誰かのアイデアへの対処を強制されるのではなく、あなたが使いたいプログラムを作成することができるのです。この力はあなどれません。ぜひ賢く利用してください。


ビデオ


Jitterのアーキテクチャは一般的とはいえ、映像データの利用に対して非常に最適化してあり、驚くほどの速度で動作します。強力な数学演算子、キーイング(keying)/合成、解析、色空間の変換や色修正、アルファチャネル処理、空間変形、コンボリューションベースのフィルタ、そして特殊なエフェクトは、あなた独自のビデオ処理のための基礎となります。


JitterはアップルのQuickTimeアーキテクチャに対する豊富なサポートを含んでいます。QTがサポートするすべてのフォーマットの再生、リアルタイムや非リアルタイムのファイル生成、編集処理、インポート/エクスポート能力、統合されたリアルタイムQTエフェクト、ビデオ取り込み、QTVR、ファイルフォーマット変換等です。QuickTimeオーディオは、MSPのパワフルなオーディオ処理を利用するためにMSPを経由させることができます。プロダクション環境のためには、JitterはFireWireによる入出力のみならず、デジタルビデオ(DV)カメラ制御をサポートしています。そしてパフォーマンスの状況のためにマルチモニタもサポートしています。


2D/3Dグラフィックス


Jitterの統合された2D/3Dグラフィックスサポートは、ビデオとともにハードウェアアクセラレートされたOpenGLグラフィックスを利用するためのツールも備えています。 リアルタイムでビデオストリームを3Dジオメトリのテクスチャとする能力、オーディオとビデオのストリームをジオメトリデータ、レンダーモデル、NURBS、2D/3Dテキスト、また他の一般的な形状に直接変換する能力も含んでいます。ハードウェアに近い処理を必要とする方々に対しては、ジオメトリデータやほとんどのOpenGL APIへの低レベルアクセスも可能です。


使いやすさ


JitterはCycling '74のMax/MSPグラフィカルプログラミング環境にきっちりと統合されています。アナログモジュラーシンセと同じようにカスタムアプリケーションを作るためにパッチコードでデータ処理オブジェクトを視覚的につないでいけば良いのです。


この視覚的フレームワークは、あなた自身のユニークなビデオエフェクトやリアルタイムビデオミキサ、オーディオビジュアライザ、画像からのオーディオ生成、アルゴリズミック画像生成、一括変換/処理プログラムなどあなたの心が欲するどんなものをも作成する力となります。他のMax/MSPユーザとともに開発したプログラムを共有することができます。そしてMax/MSPで現在可能であるようにスタンドアローンアプリケーションを作成することができます、フリーのランタイムバージョンはMax/MSP/Jitterで作成されたどんなアプリケーションも走らせることができます。


マトリクス


Jitterの強みと柔軟性は、ビデオ、3Dジオメトリ、オーディオ、文字や他のどんな種類のデータの作業をするときも1つのマトリクスデータフォーマットを利用することによってもたらされます。Jitterのマトリクスは、char (8 bit 符号なし整数)、long (32 bit 符号あり整数)、float32 (32 bit 浮動小数点)、float64 (64 bit 浮動小数点)という4つのデータタイプのうちの1つで構成されます。マトリクスは32次元まで持つことができます。また、32面まで持つことが出来ます。


この一般的な表現は情報の変換を容易にします。1つの画像として文字を解釈することや、3Dジオメトリにビデオ画像を変換したり、オーディオをパーティクルシステムに変化させたり、ビデオデータをオーディオとして再生したりする実験ができます。その可能性は無限です。


Jitterは、この数学的表現が機能するために必要となるすべての基礎的な数学ツールを持っています。
jit.opオブジェクトだけでも60を超える算術演算、 ビット演算、指数関数演算、論理演算、三角関数演算を備えています。jit.opにある多数の演算子はビデオ合成の実験に対して特に有効です。
また、線形代数、パーティクルシステム、フーリエ解析や再合成、文字列処理、セルラーオートマトン、
Lシステム(リンデンメイヤーシステム)に対するJitterのサポートは、なお一層の実験的可能性を許容するものです。


さらなる詳細


Jitterのオブジェクトは、経験豊かなMax/MSPのベテランにとってさえ始めてとなるだろう方法で、
オブジェクト内部状態の多くの見方を可能にします。Jitterは、セットされたり取り出されたりする内部変数として、アトリビュート(属性)の概念を導入します。それによって簡単にオブジェクト状態の管理が可能になります。便利な方法として、Jitterオブジェクトは、 "@<アトリビュート名> <アトリビュート値>" という書式のアトリビュート引数をともなった生成が可能です。多過ぎるloadbangオブジェクトの必要性を非常に減少させることができます。Jitterオブジェクトは任意の大きさのマトリクスと連携することができ、そう設計されているため、受け取ったデータの型や大きさに適応することができます。一つのプログラムで、異なった型やサイズのデータで動作する多くのオブジェクトを持つことができます。そして一つの型やサイズから、他のものに簡単に変換するためのツールがあります。


オブジェクト間を通るすべてのマトリクスは、MSPにおけるbuffer~オブジェクトと同じように名付けられます。名前によって参照されることで、一つのマトリクスが複数のオブジェクトによってアクセスされることを可能にし、創造的なフィードバック回路、インプレース処理(現場処理)、メモリ保護が可能となります。Jitterオブジェクトの中から直接抜き出した30以上のオブジェクトのソースを伴ったJitter SDKが公開されています。そのため、サードパーティ開発者は、Jitterが備えるすでに圧倒的な可能性を拡張することができます。こういった拡張性は、Max/MSPですでに知られている強みの1つです。

あなたのJitterを使う体験が、私達がJitterの開発で体験したものと同じくらい素晴らしいものになることを、私達は望んでいます。どうすればJitterをさらに良くしていくことができるのか、どうか躊躇することなく私達に知らせて下さい。


楽しみましょう。


Jitterチームより。


Jitterドキュメントを読むために


・Jitterドキュメントは、Maxチュートリアルで説明されているオブジェクト、メッセージ、パッチ、シンボル等の基本的なMaxの概念については理解されているものとしています。

・このマニュアルは37のチュートリアルを含み、ソフトウェアの基本的な能力を検討するために使うことができます。


・このドキュメントはJitterの特徴について基本的な紹介から始まり、ソフトウェア上の2つの基礎的な概念であるマトリクスとアトリビュートの紹介が続きます。もし、いますぐ使ってみたいなら、それらを読み飛ばしてチュートリアルでJitterの学習を開始してください。しかし、これら2つのトピックは、あなたの理解にとってたいへん役に立つ可能性がある一通りの基礎を提供します。


・それぞれのチュートリアルでは、Jitter TutorialフォルダにMaxパッチが含まれています。それはこのマニュアルの章を読みながらチュートリアルパッチを検討するためのものです。


・それぞれのJitterオブジェクトの特徴の掘り下げて調べるために、HTML形式でのJitter Referenceフォルダを利用することができます。Jitter Referenceは、あなたのMax/MSPフォルダ内のpatchesフォルダ内のJitterReferenceフォルダの中です。また、Max/MSP ExtrasメニューからJitterReferenceLauncherを選択することによっても、Jitter Referenceを起動することができます。


各々のオブジェクトに対してヘルプファイルもあります。また、ヘルプファイルの中からオブジェクトのリファレンスページを起動することもできます。
リファレンス資料を調べる前に、メインのObject Referenceページのトップからリンクされているオブジェクトリファレンスへのガイドを読みたいと思うかもしれません。
このガイドはMax4/MSP2:patches:JitterReference:reference-guide.htmlにあります。

・このマニュアルの付録では、QuickTimeフォーマットやOpenGLマトリクスフォーマットについての追加情報、さらに知識を深めるための情報源のリストを提供しています。